その土地の履歴書となる地図

地図は作った瞬間から、時が経つにつれて古びていくことを宿命付けられています。
土地は絶えることなく変わっています。新しい道路が作られたり、新しいビルやデパート、住宅が建設されたりします。そのたびに空き地だった場所は空き地ではなくなります。反対に、それまでそこにあった建物がなくなることもあります。あるテナントを使っていた店が閉業し、そのテナントで新しい店が開業する、ということなども含めれば、変化はとても多くなります。
ですから、そのような変化を記録し、地図を更新することは非常に重要です。なるべく早く更新することで、ユーザーにとって使いやすい地図にすることは、地図会社にとって最も優先順位の高い仕事と言えます。
しかし、逆に捉えれば、地図はその土地のある一瞬を記録した資料である、と言えます。新しい道、建造物ができると、人々はそれ以前の風景を忘れていきます。ですから、それを忘れても思い出させてくれる地図という資料は、価値の高いものなのです。
ともすれば、遥か昔の歴史にさえ、地図を見ればタイムスリップすることができるのです。